運動生理学

睡眠と成長ホルモンによる回復効果


成長ホルモンとは?

成長ホルモンの成分はアミノ酸で構成されています。

成長ホルモンは、副交感神経が優位になる睡眠中に多く分泌されています。睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分かれています。浅い眠りがレム睡眠、深い眠りがノンレム睡眠です。ノンレム睡眠の時に最も成長ホルモンが分泌されます。

眠りが浅い時は、閉じた瞼の上からでも眼球が動いているのがわかります。これを急速眼球運動と言います。
 
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レム睡眠とノンレム睡眠

この急速眼球運動 rapid eye movementの頭文字を取ってREM、レム睡眠と呼ばれています。眼球がよく動く時間帯、レム睡眠の時に夢を見ていると言われています。

レム睡眠中は浅い眠りですが、全身の筋肉は弛緩し身体はしっかり休息している状態です。

ノンレム睡眠では、脳を休ませています。
 
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睡眠の仕組みを知って陸上競技のレース間に応用する

陸上競技の大会で、1日に2本や3本走る時の間の過ごし方で、短時間の昼寝が良いとされているのは、このレム睡眠の効果です。脳は起きているけど身体は休まっているからです。15分くらいが適当です。

それ以上寝ると、ノンレム睡眠に入り、脳も休息してしまいます。そして副交感神経が最も優位になるので、身体は鎮静化します。運動のための準備とは逆の効果になってしまいます。

レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは、一般的には90分と言われています。90分の倍数の時間に起きると寝覚めが良いのは、眠りが浅くなったレム睡眠の時に起きるタイミングが合うからです。但し、最初の周期は2時間で、1時間後に眠りの深さがピークに達するノンレム睡眠で、30分後に最も浅いレム睡眠になります。

2時間+1.5時間の周期で目覚めが良いレム睡眠で起きることができます。

だから、2、3.5、5、6.5、8時間の睡眠が起きやすい時間です。

普段の睡眠の時に、この時間を意識すると良いでしょう。

 
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どれくらいのレース間隔があれば2時間寝れるか?

レース間に2時間寝れるのであれば、しっかり寝ることで疲れはかなり回復すると考えられます。レム睡眠とノンレム睡眠の1サイクルの睡眠です。

寝る時は、次のレースのことは考えないでください。レースを想像することで緊張感が増しますし、交感神経が活発になってしまいます。寝る時は、顔にタオルを掛けて暗くしたり好きな音楽を聴くなどしてリラックスしてください。

しかし、普通はおすすめしません。熟睡した後は、身体が起きるのに時間がかかると言われているからです。【何本も走ったレースの疲れがひどくてどうしようも無い場合には有効だと思います。】

それでは、レースを終えて、次のレースのアップ時間を考えてみます。私の考えではレース間隔が4時間40分以上あれば、2時間睡眠の回復は可能だと思います。

睡眠のサイクルを利用した、疲労回復優先で考えています。

ただし、起きて30分後にアップに行く計画なので、起きてすぐに動ける人と苦手な人がいると思います。休日に午前と午後に練習して、大会のシミュレーションをしてみてください。

熟睡したら身体が動かなくなるという選手もいます。そんなの関係ない!という選手もいます。自分で試してみてください。

私の陸上仲間で、レース間にとにかく寝る選手がいました。強かったです。1500m3’54″で走る選手です。


12:00レース終了
12:05プロテイン摂取
12:10〜12:30クーリングダウンjog15〜20′
12:30〜12:45ストレッチ
12:45〜食事

13:10〜15:10睡眠120分

15:10〜15:40太陽を浴びて、散歩や軽いストレッチで身体を起こす。集中してレースのイメージトレーニングをすることで交感神経を働かせる。
15:40〜ウォーミングアップ、jog10’、流し3〜5本
16:00招集開始、着替え、軽いストレッチ
アミノ酸摂取
16:20最終コール
16:40レーススタート

2時間寝て、起きてすぐに動きにくい人は、15分睡眠を何回かに分けて取るのも一つの方法だと思います。
 
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高いパフォーマンスを出すために、睡眠による身体鎮静化からどれくらいの時間必要か?

明確な根拠となるサイトや文献は見つけられませんでしたが、身体の機能が起きるのには3〜5時間という意見が多いようです。

ですので、レース間にたくさん寝すぎるのは、良いことではないと思います。しかし、先にも書きましたが疲労回復優先で寝ることは有効だという考えです。

前日の睡眠から、翌日のレーススタートを逆算して、5時間前に起床して、食事を3時間前に済ませるのが無難だと思います。
 
 

まとめ

毎日している睡眠ですが、意外と知らないことが多いものです。

レースの合間に15分の短時間睡眠を入れることで、疲労回復効果が高まります。

ポイントは、交感神経と副交感神経の切り替えです。これは、ウォーミングアップクーリングダウンストレッチにも共通していることです。

身体の仕組みを知ることで、練習の走りやレースの走りが変わります。練習やレースを支えているのは、日常生活での行動です。

今まで、顧問や先輩に言われてやってきたこと、意識せずにやってきたことにも意味があることが多いです。

意味が無いこと、効果が無いことはやめれば良いです。

意味があることは、その仕組みを理解することで納得できると思います。

陸上競技やランニングは、走るフォームや練習ペース、練習メニューだけが勉強すべきことではありません。

多角的に知識を深めると、ある時にいくつかの知識が結びつくことがあります。テレビ、雑誌、ネット、あらゆるところに情報はあります。自分の向上心、研究心、疑問がそれらの情報を結びつける大事な鍵になると思います。

問題意識を持って、生活、アスリート活動をしましょう!

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心拍数管理, 練習の考え方, 練習ペース

ビルドアップ走のペース設定方法と練習効果



ビルドアップ走は、陸上部で中長距離専門なら一度はやったことがある練習でしょう。

しかし、どれくらいの人が自分に適したペースの設定方法やトレーニングの効果を理解しているでしょうか?

ペースの設定には、絶対にこれだ!という決まりはありません。速め、遅め、レベルに応じて距離も加減すれば良いと思います。

それでは、私なりの解釈と考えでアドバイスをします。
 
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トレーニング効果

様々な速度域で走り、最後は全力または全力近くまで上げることで、有酸素運動→無酸素運動になります。様々なエネルギー供給系を使うことになり、バランス良く中長距離走に必要な要素を鍛えることができます。

イメージとしては、一般的に取り組まれているペース走より少し遅めからスタート→ペース走→ペース走より速く、長距離レースのペース(ハーフ→10km→5km→3km→全力)、こんな感じです。

ちなみに、フルマラソンのペースはペース走より少し遅めになると考えられます。
 
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長距離選手向けのビルドアップ走

普段やるようなベース走の設定タイムからスタートして最後は全力まで上げるものです。距離は10000m前後が適当なところでしょう。

ペース走より少し遅めからスタートしても良いです。距離を走りたい場合などに適しています。

ペース走のペース設定は、無酸素性作業閾値(AT)前後で設定するのが一般的です。最大心拍数の85%前後が目安です。

ペース走の設定ペースの考え方を詳しく見る。

以上から、ビルドアップ走の設定の方法は、最大心拍数の80%→85%→90%→95%→全力というように考えると良いでしょう。
 
 

ペース設定の基本、心拍数管理

練習ペースは、基本的には心拍数で決めます。回数で決めるのではなく、最大心拍数からの割合%です。スポーツ施設等で測定するのが一般的ですが、11分間走などで自分で測定することもできます。知識として知っておこましょう。

心拍数管理の方法を詳しく見る。

 
 

ペース設定一覧表

持久力レベル(5000m)のタイムによって、jogやインターバルの設定ペースを決めます。心拍数を計測したことがない人でもその範囲に入るようになっています。私が10年近く、陸上選手や市民ランナーを教えてきて確認したものです。

タイム設定一覧表

 
 

具体的なメニュー

例えば、ビルドアップ走の設定を心拍80%→85%→90%→95%→全力にする場合で考えてみます。

【5000m16’00″(3’12″ペース)の選手】
3’50①→3’45①→3’40③→3’35①→3’30①→3’25①→3’20①→全力①

丸内の数字は距離です。合計10km、10000mで考えてあります。AT=無酸素性作業閾値あたりの3’40を長めにとりました。ラスト4kmがキツイところです。ペース設定の距離配分は自由です。
 
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【5000m20’00(4’00″ペース)の選手】
4’50①→4’45①→4’40①→4’35①→4’30①→4’25①→4’20①→全力①

合計8km、8000mで考えました。女子を想定しています。タイムが遅い分、男子より距離を少し短めにするべきです。走る総時間は同じくらいになるように設定します。

タイム設定一覧表を参考にして、心拍80%からスタートして、1kmごとに5秒アップが覚えやすいと思います。5000mのレースペース+10〜20秒まで上がったら、その後はフリーで全力です。

 
 

5000m14’台、ハーフも狙う選手の場合

トータル距離は16km、16000mまで延ばします。先ほどと同じく心拍80%→85%→90%→95%→全力で設定します。

【5000m14’50″(2’58ペース)の選手の場合、10000m30’40(3’04ペース)くらい】

3’35②→3’30②→3’25②→AT3’20⑥→3’15②→3’10①→全力①

ATペースの3’20を長めにとり一定ペースで淡々とリズミカルに走ります。ちなみにハーフのペースは3’14前後が予想されます。ハーフ68’00″(3’13″8ペース)です。

ハーフマラソンはATを超えるペースになります。

フルマラソンはATを超えることはないと言われています。世界トップクラスでATに限りなく近く、男子より女子の方がAT近くで走ることができるそうです。但し、これはかなりハードなトレーニングを積んだトップアスリートの話です。一般的にはそこまで上げて走ることはできません。知識として参考程度に。

 
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まとめ

ビルドアップ走は、様々な要素を鍛えることができる効果的な練習です。しかし、毎日やれば良いという訳ではなく、週間や月間の練習計画に上手く散りばめると良いでしょう。

目標とする種目、距離によってビルドアップ走の距離設定とペース設定をアレンジすると良いです。

また、短時間で効果的なトレーニングをしなければならない多忙なアスリートにも有効です。走り始めをウォーミングアップとして、一度休憩しつつ体操、再スタートからペース走→ペースアップしてラスト全力近くまで上げたり。アレンジは自分次第、使える時間の範囲内で。

工夫次第では、レベルが違う選手同士が一緒に走ることもできます。途中から入ったり、途中でやめたり、練習前に相談してお互いに利用し合いましょう。

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大会, 練習の考え方, 運動生理学

クーリングダウンで血中乳酸濃度を早く下げたい理由



クーリングダウンが必要な事は他の記事で紹介していますし、アスリートならみんな知っていることです。

ウォーミングアップの記事も参考にしてください。

今回は、クーリングダウンについてもう少し詳しく紹介します。
 
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人間の体は弱酸性

ボディーソープのコマーシャルでよく耳にする言葉です。素肌に優しい弱酸性です。

短時間に大きなエネルギーを発生させると同時に乳酸も産生されます。この乳酸は酸性です。昔は乳酸=疲労物質というふうに言われていました。最近では乳酸はエネルギー源であるとも言われています。しかしながら私たちが速く走るときに乳酸をエネルギーとして使ってるかというとそうではありません。私たちの体では乳酸を分解して再びエネルギーとして使うことができるようになっています。そういった広い意味で乳酸=エネルギー源であると考えることもできます。

しかし、高強度のトレーニング直後またはレース直後に体の乳酸濃度は高くなっています。乳酸は筋肉の収縮を阻害して運動を妨げます。これは好ましいことではありません。少しでも早く高い乳酸濃度を下げて元の値に戻すことが、運動を再開するためには必要ですし、すばやい疲労回復にも必要となります。全力で走った後の体は酸性度が高まっていると言えます。
 
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体の酸性度が高い=ストレス

人間の体もある意味錆びてしまいます。酸性度を高い状態を保つこは人体にとって好ましくありません。ストレスと言えます。

人は、交感神経と副交感神経を切り替えている話を、ストレッチの方法で紹介しました。

人は、ストレスがかかっているときは交感神経が優位になります。ストレスに耐えているからです。逆に、ストレスがなくリラックスしている状態では副交感神経が優位に働きます。
 
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効率的な回復のためには成長ホルモンが必要

本題に入ります。血中乳酸濃度を早く下げると言う事は、体からストレスを早く取り除くと言うことです。血中乳酸濃度を早く下げることで、早く体がリラックスした状態になり、さらにクーリングダウンの軽い運動によって副交感神経が優位に働きます。この時に成長ホルモンの分泌が多くなります。
 
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成長ホルモンとは?

成長ホルモンは、アミノ酸で構成される物質です。

主な働きは、組織の成長促進と代謝コントロールです。子供の骨や筋肉の成長には欠かせません。また、大人でも脳の疲労回復、脂肪燃焼、病気の抵抗力、体組織の修復や再生等に関わっています。

成長ホルモンは、副交感神経が優位の時に多く分泌されますが、最も多いのは睡眠時間中です。
 
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まとめ

クーリングダウンは、その日の最後にだけ行うものではありません。例えば、陸上競技の大会では、1日に2本、3本走ることがあります。大会が2日や3日続きの場合は、1日何本か走るのを3日続けます。記録会でも、1日2本や3本走る場合があります。

大きな大会では、予選や準決勝レースの後に、決勝が控えていますので、余計な疲労状態から早く回復することが、次への準備につながります。

レース後に、何もしないで控え場所に戻って休むのと、きちんとダウンをしてから戻るのとでは、筋肉の余分な張りが違います。

クーリングダウンの適切な時間は?

レース直後30分以内、回復のゴールデンタイムにプロテインを摂取、クーリングダウンで血中乳酸濃度を早く下げ、交感神経と副交感神経の切り替えを行い、ストレッチとマッサージで副交感神経をさらに優位にして、軽い食事でエネルギーとミネラル類を補給、短時間の昼寝で成長ホルモン分泌促進して疲労回復、この流れを考えて行う必要があります。

次のレースまで時間があまり無い場合は、ダウンをきちんとして、アップは必要最小限で行えば良いです。その時も、落ち着かず歩き回るのでは無く、可能なら15分程度の短時間の昼寝を入れるようにしましょう。交感神経と副交感神経の切り替え、そして再び交感神経へ切り替える行動がダウンとアップです。

身体のしくみを知って、レース間の過ごし方で失敗しないようにしましょう。

疲労因子ファティーグファクター、乳酸、その他の疲労を測る物質について

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練習の考え方

根拠の無い根性練習と根拠に基づく科学的トレーニングの違い。


根性練習と科学的トレーニング

根性練習とは、自分のレベルより高い設定で、たくさんの量をとにかく毎日休みなく行う事で実力がアップすると信じている練習方法で、そのような理論的ではない無謀な練習を行うことだと私は考えています。絶対にやりたくない練習です。

一方、科学的トレーニングとは、測定した客観的な数値や記録を元に、その人に合わせた練習内容や負荷の設定を適切にして、必要最小限の量を高い質で行うトレーニング方法だと私は考えています。当然、適切な休養日を設けます。

にわかに信じ難い事ですが、現在でも中学や高校で根性練習と思われる練習を生徒にさせている顧問やコーチが存在していることです。時々相談を受けます。

これはとても残念なことです。生徒は先生を選ぶことができません。私立高校ならまだしも、公立高校の場合は先生に転勤があり入学した学校に良くない先生が転勤してきたりする可能性もあります。

陸上競技の練習を、部活動で先生に言われることを全て信じて取り組む事は非常に危険です。基礎的な知識を自分でしっかりと勉強しておくことが自分自身の身を守る術です。

 
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科学的トレーニング理論を自分の練習に取り入れて、効率的に練習する。

今まで、人に言われたことだけをやって来た選手は、これをきっかけにして勉強を始めましょう!

トレーニングの5原則
心拍数と運動強度
全力で走る時間で異なるエネルギー供給系の違い
ポイント練習をする頻度(何日に一回という回数)
超回復の原理
可逆性の原理

まずはこのあたりを押さえておきましょう。
 
 

トレーニングの5原則

この5つを守ってトレーニングしないと効率的なレベルアップ走るできません。

継続性、個別性、自覚性、漸進性、全面性の原則です。詳しい説明はこちらの記事でします。
 
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心拍数と運動強度

中学生と高校生は、知識として知っておくと良いです。大学生や社会人は、心拍計を利用して練習することをお薦めします。

安静時の心拍数は40〜60回/分です。早歩きだと90〜100回/分くらい。ゆっくりjogすると110回くらい〜ペースアップして行くと120、130、140回と上がって行きます。

しかし、心拍数には個人差があります。同じペースで走っている誰かと同じ心拍数だからと言って同じレベルという訳ではありません。最大心拍数は個人ごと違います。最大心拍数からの割合で運動強度を測ります。最大心拍数200回の人Aと、220回の人Bがいたとします。ともに心拍数100回なら、Aは50%、Bは45.6%です。Bの方が少ない力で同じペースで運動をしているので、レバルが高いと判断できます。

詳しい測定方法や説明はこちらをご覧ください。
 
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全力で走る時間で異なるエネルギー供給系の違い

陸上の種目で説明すると100mと5000mでは使われるエネルギーが違います。また、得意な距離によって筋肉の質も異なります。速筋と遅筋です。先天的な遺伝によって、速筋と遅筋の割合は決まりますが、トレーニングによってもある程度の割合は変化するようです。

エネルギー供給系の詳しい説明は、こちらをご覧ください。
 
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ポイント練習をする頻度(何日に一回という回数)

ポイント練習とは、強度の高いトレーニングのことです。

では、毎日ポイント練習をすれぼ強くなりますか?

それは間違いです。高強度なトレーニングは運動によるダメージがあります。筋繊維は使うことで壊れます。それを修復することが大切です。

毎日ポイント練習を行うと、回復や筋繊維修復の時間が無く、疲労したまま次のポイント練習をすることになります。そうすると、パフォーマンスは落ちますし、余計に疲労します。これがオーバートレーニングです。

ポイント練習をする回数は、多くて週に3日、少なくて2日です。2日や3日連続で行うのでは無く、均等に間隔を開けて行います。理由は、次の項目で説明します。
 
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超回復の原理

高強度な運動により壊れた筋繊維が元の状態より強くなって回復することを、超回復と言います。

超回復に必要な時間は、48時間〜72時間です。2日〜3日です。これが、ポイント練習を週に2、3回行う理由です。

全力を出し切るようなハードなトレーニングだと、回復に3日。全力では無いけどかなりの高強度で本数や距離を多くした場合も同様です。そこまで出しきらなかったり、本数を少な目にした場合は2日です。

ゆっくりでもだらだらとかなり長い距離を走った場合も回復に時間がかかります。

筋肉痛が3日経っても治っていない場合は、やり方が良く無かったり、距離や本数が多すぎたと判断してください。また、睡眠時間が足りなかったり、充分な栄養を摂らなかった場合も回復しません。オーバートレーニングや休養、栄養面を考え直すべきです。
 
 

可逆性の原理

トレーニングをしなかったら元の状態に身体が戻ることです。ポイント練習の間隔を開けすぎたり、ポイント練習をせずにjogばかりしていても強くならないと言うことです。

毎日jogで長い距離を走る人は、大会で走る遅いと思いますが、jogを長くすることのレベルは上がります。

トレーニングはやったことに適応します。

例えば、ゆっくり長く走るLSDばかりやっているとLSDに対しては適応しますが、スピードは出しにくくなります。
 
 

科学的トレーニングのメリット

各トレーニングの理由が明確なので、目的意識をしっかり持てます。トレーニング5原則、自覚性の原則に合致します。

レベルに応じたペース設定が可能になります。段階的にステップアップすることが可能になります。漸進性の原則です。

様々なエネルギー供給系、速筋も遅筋も使う練習メニューです。全面性の原則です。

そして、その中で専門種目とするスピードやエネルギー供給系をメインにトレーニングします。個別性の原則です。

無理無くこなせる適度な質と量なので、やり過ぎによる怪我を防止できますし、無駄な時間をかけないので、その分アフターケアに気を配ることができます。体調を管理しながらトレーニングを行うので、継続的に効率的なトレーニングを積むことが出来ます。継続性の原則です。

すなわち、科学的トレーニングとは、トレーニングの5原則を全てクリアしたものと言えます。
 
 

根性練習のデメリット

自分に合わない練習量、設定ペースなので、効果が出にくいです。個別性の原則に反します。

量や時間が長いため疲れます。そして、疲れから回復する日程もありません。慢性的なオーバートレーニングに陥りやすく、常にどこかが痛く、満足なパフォーマンスをすることができません。だらだらと続けるので、こなすことに精一杯でステップアップしません。漸進性の原則に反します。怪我による中断も多くなるので継続性の原則にも反します。

痛みや疲れを、気合いだ!と一喝されて話は終わりです。指導者の押し付けトレーニングです。自ら取り組むトレーニングでは無く、やらされるトレーニングですので自覚性の原則に反します。

休養、回復練習、ストレッチ、マッサージという大切な要素が欠落しがちですので、全面性の原則に反します。

根性練習とは、トレーニングの5原則全てに反したものになりやすいです。

 
 

まとめ

学生の場合は、部活動に所属しないと大会に出れない仕組みになっています。だから、部活動の顧問が選手の運命を決めてしまうと言っても過言ではありません。すばらしい指導者に巡り会えるかどうかは運命です。私立の学校の場合は先生の転勤がほぼありませんのでこの先生に教わりたい!という学校に入学するという方法もあります。出しながら、そうできるのは一握りの選手であり、大半の選手は公立高校で顧問の先生が変わるなど流動的な状況で部活動をすることになります。

そんな時でも、自分自身の中に基礎的な陸上競技に対する知識や、そのために必要な運動生理学等の科学的根拠があればどんな先生が来ても自分で練習の意味を見出して設定ペースを調整するなど応用が効くと思います。

社会人であれば、実業団選手以外はコーチがいない状況で活動することが一般的です。関東等はランニング人口がとても多いため、ランニングクラブがありそれに所属すればプロのコーチの指導を定期的に受けることが可能です。しかしながら、それ以外の地域の戦士たちはプロコーチの指導を受ける機会は一切無いと考えられます。

自分自身で自分自身をコーチングする必要があります。

社会人ランナーは基本的に1人で練習することが多いです。がんばりすぎてしまう人は、自ら根性練習を課してしまうこともあります。とにかく毎日走る、とにかく毎日20km走る、絶対に休みを作らない、どんな時でも決めた練習メニューは絶対にこなすなど、がんばりすぎるゆえに根性練習になってしまっているパターンがあります。

学生も、社会人も共通して言える事は、練習日誌をしっかりとつける習慣を作ることが大切だということです。練習日誌は、これまでの自分自身が正しかったかどうかを判断する資料となります。

思いつきやフィーリングで練習をして、さらに練習日誌を書いていないと、調子が良い時や、悪い時が来てもなぜそうなったのか客観的に判断することができません。

科学的な根拠を勉強することが大切であると紹介しましたが、同様に練習日誌を書き続けることも大切です。簡単で地味な作業を地道に続けることが本当の根性なのかもしれません。

根性練習はダメだと言う結論なのですが、理論や根拠を知ることだけでは強くなる事はできません。頭でっかちではいけません。実行に移さないと意味がありません。

ここ1番の勝負所や、陸上人生の中でのがんばり時に、気合を入れて集中して取り組む姿勢が大事です。そして、何があってもやり通す強い気持ちが【根性】だと思います。

理論だけでは説明できない陸上競技論で説明しています。

根拠のない根性練習は反対ですが、強くなるために根性は絶対に必要です。

根性の使い時を間違えないようにしてがんばりましょう。

筋力トレーニング

ランナーに必要な筋トレや補強運動を考える


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筋トレや補強運動の目的は?

筋トレの質問はかなり多いです。しかし、難しい質問でもあり、的確に答えることができません。何故なら、私たち陸上選手、市民ランナー、トライアスリートはウエイトリフティングの選手ではありませんから。あくまでもメインはそれぞれの専門練習です。そして、筋トレはその【補強、補助的なトレーニング】に過ぎません。

個人によって、年齢や体格、身体の筋肉の付きかた、バランス、走るフォーム、専門競技が異なります。個々の弱い部分も当然違います。

その弱い部分を鍛えて補うのが、【補強運動や筋トレ】であると考えています。

ですので、何をすれば良いですか?と聞かれてもストレートに、これです!とは言えません。自分で足りないところ、強化したい部位を明確にしないと筋トレのプランは立てられません。

一方、ランニングのメニューは、個々のタイプと目指す距離によって基本的な練習メニューが決まりますし、個人の持久力レベルで持久力練習の設定タイムを決めることができます。また、レースの記録から専門練習の設定タイムを決めることができます。

ランニング練習メニュー検索

しかし、筋トレや補強はランニングで鍛える要素とは別の要素を強化するものですから、専門種目やレベルによって決めてしまうことはできません。個人の身体能力によって異なることが、アドバイスが難しいと考えている理由です。

 
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様々な筋力発揮の方法をおさらい

筋力発揮の仕方と具体例をいくつか挙げて簡単に説明します。

自分に必要なのは、どの部位でどの筋力発揮なのかを良く考えてみましょう。
 
 

1 アイソメトリック(等尺性筋力発揮)
筋肉の長さが変化しない筋力発揮
壁を押す時
持ち上がらない程重い物を持ち上げようとしている時
腕立て伏せの姿勢で腕を伸ばして保持している時(腕だけではなく、腹筋もこの筋力発揮で耐えています。)

2 アイソトニック(伸縮性筋力発揮)
筋肉の長さが変化する筋力発揮
アイソトニックは二つに分けて説明できます。伸びる時を伸張性、縮む時を短縮性と言います。

(1) エキセントリック(伸張性筋力発揮)
伸ばされながら筋力を発揮する。
鉄棒で懸垂して上りきった位置からゆっくり下がる時

(2) コンセントリック(短縮性筋力発揮)
縮めながら筋力を発揮する。
懸垂で上がる時
走る時のふくらはぎ、ハムストリング
基本的にランニングでの筋肉の働きはこれになります。腕振りもそうです。

3 プライオメトリック(瞬発的筋力発揮)
瞬間的な伸張と短縮を伴う筋力発揮
ジャンプ、連続ジャンプ、縄跳び
走る時の接地から離地の動作(瞬間)

4 アイソキネティック(等速性筋力発揮)
一定負荷の筋力発揮、伸張と短縮
油圧の器具で筋トレした時
水中で歩行や走行した時の負荷のかかり方
 
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器具を使わない自重で行う補強運動の具体例

筋肉の長さが変化する伸張性筋力発揮、アイソトニックです。

【腹筋】
もっとも有名な筋トレです。やり方も様々ありますが、自分に合うやり方を考えてみてください。大きくゆっくり動くものから、細かく速く動くものもあります。前者は、基礎的な筋力アップを目的としています。後者は、実際の走りに近い速さの運動にしています。速筋を意識的に使うようにしています。
速筋繊維と遅筋繊維

床に寝て起き上がるもの、寝た状態で脚を上げる腹筋もあります。

【背筋】
反り返るようなやり方は、腰を痛めやすいのでやめた方が良いです。
一例として、膝で脚を支えて、四つん這いになり、ふとももと腕を垂直に立てる姿勢を基本とします。片手を水平に伸ばし、逆の片足を水平に伸ばすことで、対角の動作をして背中の筋群に刺激を与えます。これを交互に行います。

【腕立て伏せ】
腕の筋力発揮は、上がる時は短縮性、下がる時は伸張性です。体幹部は等尺性です。非常に簡単に体幹部と腕を鍛えることができます。しかし、腕立て伏せよりも懸垂の筋力発揮の方が走る動作につながると私は考えています。押す時に力を入れるのか、引く時に力を入れるのか。自分の腕振りがどちらがメインかで変わると思います。

【ハーフスクワット】
骨盤を前傾させた姿勢を基本として、膝が90度の角度よりも曲がらないように、上下動を行います。片脚で行うのも良いです。

【レッグランジ】
立った状態を基本の姿勢にします。大股で歩く時に、スネの骨は垂直に立てて、ふとももの骨を水平になるように腰を落とします。狭い室内なら、そのまま戻りながら立ち上がっても良いですし、屋外なら進行方向へ前進しながら動作をゆっくり繰り返します。

【ランジウォーク】
ランジウォークとは、中腰の姿勢で骨盤を前傾させたまま、ゆっくりと動作するものです。前後左右斜めに移動することで、ハム、前もも、臀部に刺激を与えます。腰の高さは低いままです。これは、プロ野球のキャンプにも参加経験のある治療院のドクターから教わりました。特に、故障中などのリハビリ期間に有効です。

 
 

器具を使う自重で行う補強運動の具体例

筋肉の長さが変化する伸張性筋力発揮です。以下の運動は、上がる時と降りる時でそれぞれ伸縮、短縮の筋力発揮をします。降りる時はゆっくりと動作することで負荷がかかります。非常にバランスの良い運動だと思います。特に上半身、腕の強化をしたい場合におすすめです。

【鉄棒、懸垂】

【鉄棒、懸垂逆上がり】

【鉄棒、脚上げ腹筋】

【平行棒、ディッピング】
 
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器具を使うウエイトトレーニング

一般的によく知られるウエイトトレーニングです。重りのついたバーベル等を決めた回数挙げるものです。

ベンチプレス
アームカール
ハーフスクワット
レッグランジ
レッグカール
レッグプレス
ハイクリーン

このあたりがランナーが取り組むべき種目だと思います。これは個人差がありますので、自分に必要な種目を計画的に行わないと意味がありません。

ウエイトトレーニングこそ、計画性が命です。やったりやらなかったりではほとんど意味が無いと思ってください。可逆性の原則です。その運動をやらなければ身体は元の状態に戻る、ということです。

やるならば、きちんと計画を立てて、自分にとって本当に必要で意味のある種目をやらなくてはいけません。

ウエイトトレーニングはとても難しいと思います。

 
 

自重で行う姿勢維持のスタビライゼーション

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写真、日本スタビライゼーション協会HP

【スタビライゼーション】
等尺性のアイソメトリックです。運動をしていますが、身体を動かさずに姿勢を保ちます。自宅でもどこでも出来ます。スタビライゼーションとは姿勢を維持することです。自動車の車体の中に、スタビライザーという部品があります。走行中の車体のブレを抑える役目をします。

学生の部活動では、【体幹トレーニング】と総称して言われているようですね。

ランニング中の体幹部のブレを抑えて効率的に力を地面に伝えるために、スタビライゼーションを行うと考えてください。

方法は色々あります。一例を紹介します。
写真を載せるとわかりやすいのですが、この分野は著作権の問題等もありますので掲載しません。わからない方はネットで検索してみてください。

うつ伏せ、膝、腕を伸ばして手で支持

うつ伏せ、つま先、肘曲げて肘で支持

うつ伏せ、つま先、腕を伸ばして手で支持

うつ伏せ、片足つま先、腕を伸ばして片手で支持(手足は対角で)、地面から離した手足は水平に伸ばして維持

横向き、膝の外側、肘曲げて肘で支持、地面と反対側は地面側と同じ形を維持(左右対称)

横向き、足小指側面、肘曲げて肘で支持、(横向き反対全て、地面と反対側は空中で地面側と同じ形を維持、左右対称に)

横向き、足小指側面、腕を伸ばして手で支持

仰向け、踵、肘で支持

仰向け、踵、腕を伸ばして手で支持

これらは基本的なもので、他にもバリエーションはたくさんあります。

行う時間は約10秒から1分が目安です。目的が異なります。

私が勉強したスタビライゼーションは8秒間姿勢を維持するだけで良い、というものです。目的は筋トレでは無く、神経系のトレーニングです。身体の各部を効率的に使えるようにする練習です。

長い時間耐える場合は、筋トレメインです。初めてやる場合は、30秒でもキツイと思います。

 
 

ランニングの動作に近い運動での補強

【ハードルジャンプ、ボックスジャンプ、バウンディング、縄跳び】

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写真、クレーマージャパン

瞬発的な筋力発揮、プライオメトリックです。負荷が高い運動なので、過度な疲労状態でやったり、本数をやり過ぎると怪我の原因にもなります。十分注意して、行うタイミングや本数を設定してください。

スピード練習時のウォーミングアップに組み込むのがベターです。

プライオメトリックの運動を参照する。
 
 

水中ランニング

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写真、TSK International® Ltd

等速性の筋力発揮、アイソキネティックです。故障中のトレーニングとして適しています。軽い有酸素運動と、軽い筋トレを兼ねています。

水の抵抗は、簡単に説明するとスピードを2倍にすると4倍、スピードを3倍にすると9倍になります。水中で走る動作をすることで手足や体幹部に負荷をかけます。体重が脚にほとんどかからないので、故障中でも痛みが出にくい運動です。動作はとても遅くなりますが、一生懸命やればそれなりに心拍は上がります。この心拍数の高さが持久力を鍛える運動では大切です。

泳げる人は、全力近くで泳ぐのを何本も繰り返すことで、効果的な有酸素運動ができます。しかし、これは補強運動や筋トレの部類には入りませんので、ここでの説明は割愛します。ゆっくり泳げはアイシングを兼ねたクーリングダウンとしてとても有効です。

 
 

まとめ

自主練習で筋トレや補強運動をやる選手は多いと思います。

故障中に、筋トレをやる場合は、自分の専門種目の走る練習メニューを参考にすることができます。

例えば、スタビライゼーションです。
中距離選手の練習をアレンジして、200m×5×2のインターバルなら、30秒姿勢をキープ、90秒つなぎを繰り返します。90秒つなぎの間に他の種目を入れます。うつ伏せ、横向き×2、仰向けで2分です。これを5本2セット行います。それぞれの姿勢は30秒ですし、その間は他の姿勢で使う筋群の大部分は休んでいます=変則的ですが90秒レストです。

この様に、考え方とアレンジ次第で補強運動と筋トレの幅が広がります。

あくまでも、メインは走ることです。走ることだけでは強化できない必要な部分、自分が弱い部分を補強運動や筋トレで補うことで、走るパフォーマンスを向上させることが目的です。また、故障や怪我の予防にもつながります。

思いつきではなく、あくまでも計画的に行いましょう。